このページでは、育成就労制度の講習内容をはじめ、入国後講習の流れ、3年間の目標、会社が配置すべき担当者、費用負担のルールまで、受け入れ前に知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
「育成就労制度って何が変わるの?」と感じている方に向けて、このページでは制度の基本や重要なポイントをできるだけ分かりやすく整理しています。行政の資料から育成就労制度の基本的な考え方や、これまでの技能実習制度との違い、新制度で重視される「[…]
育成就労制度の講習とルールとは?受け入れ前に知っておきたい基本を分かりやすく解説

新しい育成就労制度が始まることで、「技能実習と何が違うのか」「会社は何を準備すればよいのか」と感じている担当者の方も多いと思います。
この制度の中心にあるのは、外国人材を単なる人手として受け入れるのではなく、仕事と日本語の力を身につけてもらい、将来の特定技能につなげていくという考え方です。
そのため、受け入れ企業には、講習の実施、担当者の配置、試験への対応、費用負担など、事前に知っておきたいルールがいくつもあります。
育成就労制度は「育てる制度」
育成就労制度は、短期間の労働を目的にした制度ではありません。3年間の中で、技能と日本語能力を伸ばし、外国人材が次の段階へ進めるように支える制度です。
企業側にも、受け入れたあとにしっかり育成していく姿勢が求められます。
育成就労制度の目的は3年間で特定技能1号水準を目指すこと

この制度では、最終的に「技能検定3級相当」と「日本語A2相当」を目指していくことが基本になります。
つまり、日々の仕事をこなすだけではなく、将来につながる力を計画的に身につけていくことが大切です。
大切なのは、会社と外国人本人が同じ目標を共有しながら、3年間で着実に成長していくことです。
単なる人手確保では終わらない
育成就労制度は、人手不足への対応という面もありますが、それだけではありません。
日本の現場で必要な知識や技能、日本語力を身につけ、その後も長く活躍できる人材を育てることが制度の本当の目的です。
入国後にまず行う「入国後講習」とは

入国後講習は、日本での生活や仕事の土台を作るための大切な時間です。いきなり現場に入るのではなく、まずは日本語や生活ルール、法律、安全に関することを学びます。
この講習をしっかり行うことで、本人も安心して新しい生活を始めやすくなりますし、企業側にとっても現場でのトラブル予防につながります。
講習で学ぶ4つの科目

入国後講習では、主に次の4つの内容を学びます。
日本語
現場や日常生活で必要になる基本的な日本語を学びます。
日本での生活に関する知識
ゴミ出しのルール、交通ルール、公共機関の使い方など、日本で生活するうえで必要な基本を学びます。
法的保護に必要な情報
出入国のルールや労働関係の法令など、自分を守るために必要な知識を学びます。
円滑な技能修得に役立つ知識
現場でのルールや安全衛生、仕事の進め方などを理解するための基礎を学びます。
法的保護の科目は外部専門家が担当する
法的保護に関する科目については、企業の担当者や監理支援機関の職員が教えることはできません。
この科目は、弁護士、社会保険労務士、行政書士などの外部専門家が講師を務める必要があります。
重要なポイントは、法的保護に関する内容は、会社の内輪だけで教えるのではなく、外部の専門家によって正しく伝える必要があることです。
育成就労外国人手帳を使って学ぶ
講習では、「育成就労外国人手帳」を教材として使うことが求められています。
冊子やアプリを通じて、日本での生活や法律、ルールについて理解を深めてもらうことが大切です。
入国後講習の時間には決まりがある

日本語力がA1相当未満の場合は、原則として320時間以上の講習が必要です。すでに入国前講習を一定時間以上受けている場合は、160時間以上になります。
一方で、日本語力がA1相当以上ある場合は、原則220時間以上、入国前講習を一定時間以上受けている場合は110時間以上とされています。
A1相当とはどのくらいか
A1相当とは、日本での生活や仕事に必要な初歩的な日本語をある程度理解できる水準です。
最初から高い日本語力が必要というわけではありませんが、生活や仕事の基礎になる力があるかどうかで、講習時間にも違いが出てきます。
入国後講習では「やってよいこと」と「やってはいけないこと」がある

講習では、教室での説明や見学、ロールプレイ、VRを使った安全教育などは認められています。
一方で、実際の仕事をさせながら覚えさせることや、生産ラインで模擬作業をさせること、人形を使った介護の疑似実践、ヘルメットの着脱や避難訓練を実技として行うことなどは、講習とは認められません。
現場に入る前の「学ぶ時間」と考える
入国後講習は、働くための準備期間です。仕事そのものではなく、生活やルール、安全について落ち着いて学ぶ時間として考える必要があります。
この線引きをあいまいにすると、制度違反につながるおそれがあります。
1年目には、技能の基礎級検定や、日本語能力の確認試験を受けることが求められます。まずは土台をしっかり作る段階です。
そして3年目には、特定技能1号へ進むために必要な技能検定3級相当と、日本語A2相当の合格を目指します。
ポイントは、3年間をなんとなく過ごすのではなく、1年目と3年目に向けた目標を意識しながら育成していくことです。
季節性のある仕事では別のモデルもある
農業など季節によって忙しさが変わる分野では、6か月の就労と一時帰国を繰り返し、通算5年6か月で計画を立てるモデルもあります。
業種によっては、こうした働き方のほうが現実に合いやすい場合もあります。
会社が準備すべき3人の担当者とは

企業側では、育成就労責任者、育成就労指導員、生活相談員の3つの役割を用意しなければなりません。
育成就労責任者
育成就労責任者は、全体の計画作成や進み具合の管理を担うリーダーです。制度全体を理解し、受け入れが適切に進むようにまとめる役割があります。
育成就労指導員
育成就労指導員は、現場で直接仕事を教える担当です。教える業務について5年以上の経験があることが求められます。
生活相談員
生活相談員は、仕事以外の生活面を支える役割です。ゴミ出しや交通マナー、生活上の困りごと、悩み相談などに対応する窓口になります。
3人とも養成講習の修了が必要
これら3つの役割を担う人は、それぞれの役割に応じた養成講習を過去3年以内に修了していることが必要です。
条件を満たしていれば、1人が複数の役割を兼ねることもできます。
重要なポイントは、担当者の名前だけ決めればよいのではなく、必要な講習を修了した人を配置しなければならないことです。
会社が負担すべき費用には何があるのか

会社が負担する主な費用には、技能検定や日本語試験の受験料、交通費、材料費などがあります。
さらに、全課程が終わったあとの帰国旅費だけでなく、計画に含まれる一時帰国のための費用も会社負担になります。航空券代だけでなく、空港への送迎費なども対象になります。
試験時間や移動時間は業務扱いになる
1年目や3年目の試験を受ける時間、その移動時間は、業務として扱われます。つまり、給与の支払い対象になります。
追加の日本語学習費用も会社負担
A2合格を目指すための追加の日本語学習については、会社が費用を負担する必要があります。
ただし、その学習時間そのものを必ず労働時間にしなければならないわけではありません。
本人負担は認められない
試験費用や帰国旅費を本人に負担させることは認められていません。給与から差し引くことも禁止されています。
大切なのは、外国人本人が費用面の不安を抱えず、育成と就労に集中できる環境を会社が整えることです。
まとめ

新制度では、入国後講習を通じて生活や法律の基礎を学び、3年間で技能と日本語力を伸ばし、将来の特定技能へつなげていく流れが大切になります。
そのため、企業側にも、適切な担当者の配置や講習修了、費用負担、目標管理など、受け入れを支える具体的な役割が求められます。
重要なポイントは、育成就労制度が「受け入れて働いてもらう制度」ではなく、「準備し、支え、育てていく制度」だということです。
制度のルールを正しく理解し、外国人材が安心して成長できる環境を整えることが、これからの受け入れ企業にとってますます大切になります。

