特定技能(介護)として日本の介護現場で働く外国人の中には、将来「介護福祉士」として長く日本で活躍したいと考える方も少なくありません。
本ページでは、特定技能(介護)で働く外国人が、どのようなステップで介護福祉士を取得できるのかを中心に、条件や事業所側の支援ポイントをわかりやすく解説します。
その悩みを解決するには、外国人介護職員に長く定着してもらうための最も有効な方法である国家資格「介護福祉士」の取得を支援し、永続的に日本で働ける在留資格へ切り替える事で解決します。
この記事では、外国人材の受け入れ制度の基本的な仕組みに加え、実際の介護現場でなぜ介護福祉士資格が重要になるのかを、現場の立場から丁寧に解説します。
また、外国人介護職員を受け入れる際に、施設としてどのような準備が必要なのか、どのような支援体制を整えるべきなのかといった具体的な取り組みポイントについても詳しく紹介します。
現場で直面しがちな課題や不安を整理しながら、外国人材が安心して働き、施設側も安心して受け入れられるための実践的なヒントをまとめています。
1. 特定技能(介護)から介護福祉士を目指すメリット
特定技能1号(介護)は、通算最長5年まで日本で働くことができる在留資格です。
一方で、介護福祉士を取得して在留資格「介護」へ切り替えると、
- 在留期間に上限がなく、長期的なキャリア形成が可能
- 中堅職員・リーダー・教育担当など、役割・評価のステップアップがしやすくなる
- 条件を満たせば、家族帯同(家族滞在)も視野に入る
そのため、事業所側にとっても、特定技能(介護)から介護福祉士へ育成することは、安定した人材確保の有力な方法になります。
2. 基本の流れ:特定技能(介護)→ 実務経験 → 介護福祉士
特定技能(介護)から介護福祉士になる代表的なステップは、次のようなイメージです。
- 特定技能1号(介護)として介護施設に就職・勤務
- 介護現場で3年以上・540日以上の実務経験を積む
- 勤務と並行して介護福祉士実務者研修(450時間)を修了
- 介護福祉士国家試験を受験し、合格
- 介護福祉士登録を行い、在留資格を「介護」へ変更
特定技能で既に現場経験を積んでいることが、実務経験ルートで介護福祉士を目指す大きな強みになります。
3. 必要な条件① 実務経験と実務者研修
3-1. 実務経験の要件
- 介護施設で3年以上・540日以上の実務経験が必要
- 対象となるのは、「介護業務」としての勤務期間
(身体介護・生活援助・記録など。清掃だけ・調理だけなどは原則カウント対象外) - 特定技能(介護)での勤務期間も、条件を満たせば実務経験としてカウントされる
3-2. 介護福祉士実務者研修(450時間)の修了
- 国家試験を受験するには、介護福祉士実務者研修を修了していることが必要
- 通信制+スクーリング(通学)など、働きながら受講できるカリキュラムが一般的
- テキスト・レポート・試験はすべて日本語で行われる
事業所側が、受講のスケジュール調整や費用の一部補助を行うことで、特定技能職員が介護福祉士を目指しやすい環境を整えることができます。
4. 必要な条件② 日本語能力と国家試験
4-1. 日本語能力の目安
- 特定技能(介護)の段階:JLPT N4程度が目安
- 介護福祉士国家試験に合格するための目安:JLPT N2レベル以上
国家試験では、法律・制度・医療・介護技術などの内容が日本語で出題されます。
そのため、単語の暗記だけでなく、長文を読み理解する力・専門用語を日本語で説明できる力が求められます。
4-2. 国家試験のポイント
- 試験は年1回、日本語で実施
- 合格後に介護福祉士登録を行うことで正式な資格取得となる
特定技能として働きながら挑戦する場合、「仕事」と「勉強」を両立するスケジュール管理が大きな課題となります。
5. 事業所側ができる支援(特定技能 → 介護福祉士)
5-1. 日本語・試験対策のサポート
- 介護専門用語集(母国語訳+日本語)の作成・共有
- 模擬問題や過去問を使った小規模な勉強会
- 試験前のシフト調整や学習時間の確保
- 実務者研修・対策講座などの受講費用を一部補助
「介護福祉士を取ってほしい」というメッセージを、制度や具体的な支援で示すことが、モチベーションの維持につながります。
5-2. キャリアパスの明示
- 入職時から、「特定技能 → 介護福祉士 → 在留資格『介護』」という道筋を説明する
- 介護福祉士取得後は、リーダー・教育担当・将来の管理職候補など、役割や処遇の違いを明確にする
「頑張ればここまで進める」というイメージを共有することで、特定技能職員の定着率アップにもつながります。
6. 介護福祉士取得後の在留資格「介護」への変更
特定技能(介護)で働いていた外国人が介護福祉士国家試験に合格し、登録を済ませると、
在留資格を「特定技能1号」から「介護」へ変更できるようになります。
- 在留期間の更新に上限がなく、長期的な就労・生活が可能
- 条件を満たせば、配偶者・子どもを家族滞在で呼び寄せることも可能
- 外国人職員を、長期的な中核人材・リーダー候補として位置づけられる
これは、特定技能での「最大5年」という制限とは大きく異なるポイントです。
7. まとめ:特定技能(介護)から介護福祉士へ育成する意味
- 特定技能(介護)として働く外国人は、実務経験ルートで介護福祉士を目指すことができる
- 条件は、3年以上・540日以上の実務経験と実務者研修の修了、そして国家試験合格
- 日本語力は、特定技能段階のN4レベルから、介護福祉士レベルのN2程度までのステップアップが必要
- 事業所の日本語支援・試験対策・キャリアパス設計が、合格と定着のカギになる
特定技能(介護)の外国人を「5年で終わる人材」と見るのではなく、
「介護福祉士として長く一緒に働くパートナー候補」として育成することが、
これからの介護現場にとって大きな強みになります。
