OTIT外国人技能実習機構は、技能実習制度の介護職種にかかる技能実習計画の認定申請関係で、よくあるご質問Q&Aを掲載しています。
技能実習制度の介護職種において、他分野の職種とは違う規制やルールがあるので、受入れ時には気を付けておきたい分野です。
これを見るだけでも技能実習制度の介護職種についての概要などが分かります。各項目ごとにQ&Aが分けてあるので、ぜひ活用してみて下さい。
①よくある質問(介護職種関係)
- 介護職種に係る技能実習生の受入れはいつから可能となるのか。
- 技能実習計画の認定申請、在留資格認定証明書交付申請及び査証申請の審査期間を考慮すると、技能実習計画の認定申請を行ってから、おおむね4か月後から受入れが可能となる。技能実習計画の認定申請の受付については、平成29年11月1日から開始している。
- 技能実習の目的は、本国への技能等の移転とされているが、介護職種に係る技能実習生の受入れは、この目的に沿うものなのか。日本の介護技術が文化の違う外国で活かされるのか。
- 技能実習制度は、日本から相手国への技能移転を通じた「人づくり」に協力することが基本理念とされている。日本は他国と比較し、高齢化が急速に進展しており、認知症高齢者の増加等、介護ニーズの高度化、多様化に対応している日本の介護技術を取り入れようとする動きも出てきている。こうした介護技能を他国に移転することは、国際的に意義のあるものであり、制度趣旨にも適うものである。
- 技能実習生の本国において、「介護」のニーズは具体的にどれほどあるのか。
- 「介護」の概念や業務が国によって一様ではないが、高齢化が急速に進展しており、認知症高齢者の増加等、介護ニーズの高度化、多様化に対応している日本の介護技術を海外から取り入れようとする動きも出てきており、具体的には、ベトナム、カンボジア、モンゴルからの要請を受けている。
- 障害福祉サービス等報酬における技能実習生の配置基準上の取扱いは、介護報酬上の取扱いと同様か。
- ご指摘のとおり、障害福祉サービス等報酬においても、介護報酬上の取扱いと同様、実習開始後6月を経過した者又は日本語能力試験のN2又はN1(平成22年3月31日までに実施された審査にあっては、2級又は1級)に合格している者については、障害福祉関係法令に基づく職員等の配置基準において、職員等とみなす取扱いとしている。
②よくある質問(介護職種関係)
- 介護職種における監理団体の法人形態についての要件を問う。
- 介護職種に係る固有の基準は告示に規定されており、告示第4条において、介護職種として認められる法人形態が列挙されている。
具体的には、一般監理事業の許可の有無にかかわらず、商工会議所、商工会、中小企業団体、職業訓練法人、公益社団法人、公益財団法人(商工会議所、商工会、中小企業団体の場合には、その実習監理を受ける介護職種の実習実施者が組合員又は会員である場合に限る。)であり、それ以外の場合は、当該法人の目的に介護、医療又は社会福祉の発展に寄与することが含まれる全国的な団体(その支部を含む。)であって、介護又は医療に従事する事業者により構成されるものである場合は、介護職種の監理団体となることができる法人形態として認められる。
- 既に監理団体の許可に係る事前申請を行っているが、介護職種の追加に係る手続きはどのようにすればいいのか。
- 既に監理団体の許可の事前申請を行っている方が、介護職種の追加をお考えの場合には、「監理団体許可申請の内容変更申出書・監理団体許可条件変更申出書」により介護職種の申請にかかる追加書類の提出が必要である。
なお、許可申請をされた時期によっては、当初申請された内容に基づき許可証を交付した上で、改めて介護職種を含む許可証を交付する場合がある。
また、監理事業の許可証が交付された後に介護職種を追加される場合も、「監理団体許可申請の内容変更申出書・監理団体許可条件変更申出書」により手続きが必要である。
- 告示第4条第2号に規定する「当該法人の目的に介護、医療又は社会福祉の発展に寄与することが含まれる全国的な団体」に該当するか否かについては、どのように判断するのか。
- 当該要件に該当するか否かについては、定款や団体の構成員、財務諸表等から、法人の目的や事業内容、団体の規模等を考慮して総合的に判断することとしている。
具体的には、技能実習法の施行後、業種毎に技能実習の適正な実施等に向けた協議を行うこととされている法定の事業協議会の構成員となることが想定される、「技能実習制度への介護職種の追加に向けた準備会」を構成する団体が該当する。
③よくある質問(介護職種関係)
- 技能実習指導員の要件について、介護福祉士の資格を有する者と同等以上の専門的知識及び技術を有すると認められる者の一つである「修得等させようとする技能等について5年以上の経験を有することに加え、3年以上介護等の業務に従事し~適格性を認めた者」と規定しているが、結局、どのような経験が何年必要なのか。
- 「修得等させようとする技能等について5年以上の経験を有することに加え、3年以上介護等の業務に従事し~適格性を認めた者」については、本体制度上求められる「5年」以上の業務経験に加えて、「3年」以上の業務経験を求めるものであり、合計で8年以上介護等の業務に従事した経験が必要という意味である。
- 介護職種に係る技能実習は、訪問介護も可能となるのか。
- 訪問介護などの訪問系サービスについては、適切な指導体制を取ることが困難であることや利用者、技能実習生双方の人権擁護、適切な在留管理の担保が困難であることから、介護職種の技能実習の対象としないこととしている。
- 介護事業所の「常勤の職員」の常勤性はどのように定義されるのか。
- 常勤介護職員の総数については、常勤換算方法により算出するものではなく、他職種と同様、実習実施者に継続的に雇用されている職員(いわゆる正社員をいうが、正社員と同様の就業時間で継続的に勤務している日給月給者を含む。)であって、介護等を主たる業務とする者の数を事業所ごとに算出することになる。また、他職種と同様、技能実習生は人数枠の算定基準となる「常勤の職員」には含まれない。
- 人数枠の算定基準となる「介護職員」には、どこまで含まれるのか。
- 人数枠の算定基準に含まれる介護職員とは、「介護等を主たる業務として行う常勤職員」を指す。このため、例えば、介護施設の事務職員や就労支援を行う職員、看護業務を行う看護師及び准看護師はこれに含まれない。
一方、医療機関において、看護師や准看護師の指導の下に療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動等)等を行う診療報酬上の看護補助者や、当該看護補助者の指導を同一病棟で行っている看護師及び准看護師は、算定基準に含まれる。
- 人数枠の算定において、複数の事業所の介護職員を兼務している者はどのように扱うのか。
- 複数の事業所の介護職員を兼務している者については、一つの特定の事業所において技能実習生の人数枠の算定基準となる常勤介護職員としてカウントされている場合は、それ以外の事業所において常勤介護職員としてカウントすることはできない。
- 同一の実習実施者において、介護職種とそれ以外の職種の技能実習を同時に行う場合、人数枠はどのようになるのか。
- 介護職種の人数枠については事業所単位、介護職種以外の職種については法人単位で人数枠を算定することとしている。このため、介護職種における人数枠の算定の際には、技能実習生を受け入れる事業所に所属する技能実習生を除いた常勤介護職員の数のみから人数枠を算定することとなり、それ以外の職種については、法人に所属する技能実習生を除いた常勤職員の数から人数枠を算定することとなる。なお、この場合、技能実習生の受入人数枠には介護の技能実習生も含めてカウントする。
- 同一法人であれば、複数の事業所が共同して、順次、複数の事業所で技能実習を実施することも可能か。
- 介護職種については、他職種とは異なり人数枠を事業所単位で定めており、人数枠の算定基準に複数の事業所の職員をカウントすることは認められないことから、複数の事業所が共同して技能実習を実施することは認められない。
技能実習期間中に技能実習を行わせる事業所を変更したい場合については、技能実習計画の変更の届出を行う必要がある。
なお、変更後の事業所が技能実習計画の認定基準を満たしていないことが確認された場合には、当該変更を是正するように指導することとなり、当該指導に従わなかった場合には、計画の認定取消し、改善命令等の対象となる。
- 介護分野においては、夜間業務も必須と考えるが、技能実習生を夜間業務に配置することは可能なのか。
- 告示第2条第5号に「技能実習生に夜勤業務その他少人数の状況の下での業務又は緊急の対応が求められる業務を行わせる場合にあっては、利用者の安全の確保等のために必要な措置を講ずることとしていること。」とあるとおり、当該措置を講じている場合に限り、夜勤業務も可能となる。
- 「夜勤業務その他少人数の状況下での業務又は緊急時の対応が求められる業務を行わせる場合にあっては、利用者の安全の確保等のために必要な措置」とは、具体的に何か。
- 夜勤は、昼間と異なり少人数での勤務となるため利用者の安全性に対する配慮が特に必要となるとともに、技能実習生の心身両面への負担が大きいことから、技能実習生を夜勤業務に配置する際には、安全確保措置を講ずることが必要となる。
具体的には、技能実習生への技能・技術の移転を図るという技能実習制度の趣旨に照らし、技能実習生が業務を行う際には、技能実習生以外の介護職員を指導に必要な範囲で同時に配置することが求められるほか、業界のガイドラインにおいても、指導等に必要な数の技能実習生以外の介護職員(主として技能実習指導員)と技能実習生の複数名で業務を行うこととしている。
これにより、介護報酬上は一人夜勤が可能とされるサービスについても、技能実習生一人による夜勤は認められないことになる。
- 夜勤業務等においては、技能実習生以外の介護職員を「指導に必要な範囲で」同時に配置することが求められているが、「指導に必要な範囲」の具体的内容如何。
- 技能等の移転を図るという技能実習制度の趣旨や安全確保措置義務の内容として、介護報酬上は一人夜勤が可能とされるサービスについても、技能実習生一人による夜勤は認められないことになる。
「指導に必要な範囲」とは、この場合に技能実習生と同時に配置することが求められる介護職員について、技能実習生の介護業務の知識・経験、コミュニケーション能力等を総合的に勘案した上で、各事業所の実情に応じ、必要な人数の配置を求めるものである。
- 技能実習生は、夜勤専従の勤務形態も認められるのか。認められないとすれば、それをどのように担保するのか。
- 夜勤専従では日中における介護を含めた適切な技能移転が図られないため、夜勤専従の勤務形態は認められない。
- 病院で介護職種の技能実習を行う場合、事業所の確認書類(指定通知書等の写し)は、地方厚生局長からの「保健医療機関指定通知書」でよいのか。
- 病院を開設する際は都道府県知事の許可を受けることになっているので、病院が技能実習を行う場合は病院の「開設許可書」の写しを提出して下さい。
- 病院等を介護医療院に転換した場合、病院等の開設から3年間以上経過していても、介護医療院としての開設から3年経過するまでは、技能実習生の受入れを行うことができないのか。
- 病院等が介護医療院に転換した場合は、転換前の病院等に関する書面を提出することで、転換後の介護医療院と合わせて過去3年以上介護等の業務を行っていることを証明した場合には、技能実習を行うことができます。
具体的には、病院または診療所については病院または診療所の開設許可書、介護療養型医療施設については介護療養型医療施設の指定通知書、介護療養型老人保健施設(平成18年7月1日から平成30年3月31日までに医療療養病床又は介護療養病床から転換して指定を受けたものに限る。)については介護老人保健施設の指定通知書をご提出ください。
なお、技能実習を行わせる事業所の概要書(介護様式第8号)における「②施設・事業の類型」欄の種別コードは「33-2」としてください。
- 技能実習生を受け入れている病院、診療所、介護療養型医療施設、介護療養型老人保健施設(以下「病院等」という。)から介護医療院に転換した場合、既に行われている実習を継続するには、技能実習計画の変更や再申請等の手続が必要となるのか。
- 介護職種の技能実習は、事業所ごとに受入人数枠を定め、実習を行うこととしていますが、実習先を病院等として技能実習計画の認定を受けた後に、その一部又は全部を介護医療院へ転換した場合においては、軽微変更届出書の提出が必要です。
なお、届出に当たっては、訂正後の、実習実施予定表(省令様式第1号第4~6面)及び技能実習を行わせる事業所の概要書(介護様式第8号)を添付ください(新規申請時に提出した当該書面の写しを赤字で訂正したものを添付することとしても差
し支えない。)。技能実習を行わせる事業所の概要書(介護様式第8号)における「②施設・事業の類型」欄の種別コードは「33-2」としてください。
- 技能実習を行わせる事業所について、「開設後3年を経過していること」が必要であるが、当該要件についてどのような事業所が対象となるのか。
- 別記様式第1号第2面の「8技能実習の期間及び時間数」に記載されている技能実習の開始日が、指定通知書等(指定通知書、指定更新通知書、診療所開設許可書)に記載されている指定年月日や許可年月日から3年以上経過している日であれば、当該要件の対象となる。
ただし、吸収合併等により、上記の要件を満たさない場合であっても、事業所の実態が変わらない場合もあることから、このような場合には、法人の登記事項証明書等により合併の事実を証明することに加え、合併前の事業所の指定通知書等を提出することで、合併前と合併後の期間を合わせて、当該事業所が開設後3年以上経過していることの要件を満たしているかを判断することとなる。
④よくある質問(介護職種関係)
- ○告示で示された日本語能力の基準は、日本で介護業務を行うに足りるレベルなのか。
○告示で示された日本語能力の基準は、厳し過ぎないか。 - 介護分野の技能実習制度における日本語要件については、「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ」(平成27年2月4日)(以下「中間まとめ」という。)において、「段階を経て技能を修得するという制度の趣旨から期待される
業務内容や到達水準との関係を踏まえ、1年目(入国時)は、基本的な日本語を理解することができる水準である「N4」程度を要件として課し、実習2年目(2号)については、「N3」程度を要件とする」とされたことに基づくものである。
- 日本語能力試験の受験費用は誰が負担するのか。
- 当該費用の負担者については、監理団体又は実習実施者を想定している。
- 「本国に帰国後、本邦において修得等をした技能等を要する業務に従事することが予定されていること。」とは、就職先が決まっているということか。どの程度までを「予定されている」というのか。
- 技能実習開始前に所属していた勤務先等に復職することが予定されていること(新たな就職先への内定を含む)、又は、これが予定されない場合にあっては、帰国後に技能実習生が修得等した技能等を適切に活用できるよう、取次送出機関が就職先のあっせんその他の必要な支援を行うこととされていることが求められる。
- 技能実習計画の認定基準の一つとして定められている前職要件について、「団体監理型技能実習に係るものである場合にあっては、本邦において従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は団体監理型技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること」が求められているが,この「特別な事情」とは何か。
- 技能実習生が従事する予定の業務と同種の業務に外国(本国等)において従事した経験を有しない場合について、特別な事情があることを求めるものであり、特別な事情としては以下①から③までの場合が該当する。
①実習実施者又は監理団体と送出国との間の技術協力上特に必要があると認められる場合
②教育機関において同種の業務に関連する教育課程を修了している場合(修了見込みの場合も含む。)
③技能実習生が技能実習を行う必要性を具体的に説明でき、かつ、技能実習を行うために必要な最低限の訓練を受けている場合※詳細については、技能実習制度運用要領を参照。