現在、日本では高齢化が進行し、地域における介護人材の確保が大きな課題となっています。その中で、外国人介護人材の受け入れが進められており、介護現場での重要な戦力として活躍しています。
一方で、訪問介護(ホームヘルプ)サービスにおける外国人の従事には、一定の制限があります。
訪問介護に従事できる外国人の在留資格
訪問介護は、利用者の自宅で一対一の介護を行うため、高度な日本語能力と専門知識、さらには信頼関係が求められます。そのため、以下のような一定の在留資格を持つ外国人のみが訪問介護に従事できます。
✅ 訪問介護に従事可能な在留資格:
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介護福祉士(国家資格)を取得した外国人
→ 在留資格「介護」での従事が可能。訪問介護も認められています。
介護職員初任者研修課程等を修了し、介護事業所等での実務経験等(※)を有する技能実習生及び特定技能外国人について、訪問介護等訪問系サービスの業務に従事を認めます。 その場合、 受入事業所は 、利用者・家族へ事前に説明を行うとともに、 以下の1から5に掲げる事項を遵守することとします。
(※)介護事業所等での実務経験が1年以上あることが原則とします。
- 外国人介護人材に対し、訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を行うこと
- 外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する際、一定期間、責任者等が同行する等により必要な訓練を行うこと
- 外国人介護人材に対し、訪問介護等における業務の内容等について丁寧に説明を行いその意向等を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成すること
- ハラスメント防止のために相談窓口の設置等の必要な措置を講ずること
- 外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する現場において不測の事態が発生した場合等に適切な対応を行うことができるよう、 情報通信技術の活用を含めた必要な環境整備を行うこと
外国人の在留資格 | 訪問介護への従事 | 主な条件 |
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① 介護福祉士(在留資格「介護」) | ✅ 可 | 国家資格「介護福祉士」を取得している。訪問介護に制限なし。 |
② 特定技能(介護分野) | ✅ 条件付きで可 | – 「介護職員初任者研修」修了 – 一定の実務経験あり |
③ 技能実習(介護)修了者等 | ✅ 条件付きで可 | – 初任者研修修了 – 実習期間中に訪問系業務の訓練を受けていること等 |
④ 上記以外(技能実習中・無資格) | ❌ 不可 | 法令上、訪問系サービスへの従事は認められていない |
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介護職員初任者研修(130時間)
⇒ 身体介護を含む訪問系サービスに必要な基礎研修。必須条件。 -
訪問系サービスに関する実務経験または訓練
⇒ 実習施設などで訪問介護に準じた訓練や観察実習を受けていることが望ましい。 -
十分な日本語能力
⇒ 利用者との1対1の対応が求められるため、N3相当以上が望ましい。
本記事では、外国人介護士が提供する訪問介護の特長や利点、雇用要件、業務内容について詳しく解説いたします。また、外国人介護士が持つ多文化理解のメリットや、訪問介護サービスにおける具体的なサポート体制、注意すべき課題やその対策、現在のニーズの高まりについてご紹介いたします。
外国人による訪問介護サービスの魅力と利点
このサービスの利点は、外国人職員が持つ多様な経験や視点を活かし、利用者に対してより充実した施策を提供できることです。特定技能制度に基づく研修を経て修了した職員が、介護の現場で実際に業務を行うことで、日本の福祉環境向上に寄与します。
次に、訪問介護の業務では、日本語能力が求められます。訪問先の利用者やその家族とのコミュニケーションが重要であり、適切な理解をもって対応する必要があります。特に、高齢者の方々に対しては、特別な配慮や丁寧な説明が求められます。
また、外国人介護人材の活用は、日本国内の介護職員不足に対する有効な対策です。労働省は、2025年に向けてこの制度を強化し、外国人を受け入れる環境を整備しています。これにより、訪問介護事業者は、業務の効率を向上させることが期待されます。
業務の実施に関しては、各事業所が計画を立て、訪問介護サービスを提供する際の要件を順守することが求められています。このように、外国人介護人材は、訪問介護分野において重要な役割を果たすことが明らかです。
くことが重要です。
現場・制度上の主な課題
① 日本語能力・コミュニケーションの壁
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訪問介護は「利用者宅での単独業務」であり、高度な言語理解力・判断力が求められる。
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誤解やトラブルにつながる不安があり、事業所が慎重になる傾向がある。
② 責任の所在が不明確になりやすい
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単独での業務中に事故やクレームが発生した場合の対応マニュアルが整っていない事業所も多い。
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保険や緊急対応体制の整備が必要。
③ 利用者・家族の受け入れ不安
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「外国人ヘルパー」に対して偏見や文化的な壁を感じる利用者・家族が一部に存在。
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信頼関係を築くには、事前説明や事業所の対応力が鍵。
④ 受け入れ事業所側の体制不備
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外国人スタッフの指導やフォローに対応できる人材が不足。
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日本人スタッフ側の教育・意識改革も必要。
今後に向けた方向性と対応策
課題 | 対応策例 |
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日本語力の不安 | 定期的な語学研修・OJTの導入 |
トラブル対応・責任の不明確さ | 外国人対応マニュアル・緊急連絡体制の整備 |
利用者側の理解不足 | 導入時の説明資料や紹介動画などによる啓発 |
事業所側の体制構築 | 外国人支援経験のある登録支援機関と連携・助言体制の構築 |