特定技能(宿泊)で外国人材を受け入れるための基本ガイド

特定技能(宿泊)で外国人材を受け入れるための基本ガイド

観光立国を目指す日本では、ホテル・旅館など宿泊業の人手不足が大きな課題となっています。
その解決策のひとつが、在留資格「特定技能(宿泊)」を活用した外国人材の受け入れです。
本ページでは、特定技能(宿泊)で外国人を受け入れる際に必要な条件やポイントを、旅館・ホテル経営者や人事担当者の方向けに分かりやすく整理しました。

管理人
もの凄い数の訪日外国人観光客が日本に来ているわけだけど、今回宿泊分野の業務内容として、ホテル・旅館などのフロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどの業務に従事できるようになったのが、特筆すべきことですね。

1. 特定技能(宿泊)とは?

在留資格「特定技能」は、人手不足が深刻な特定産業分野で、一定の技能と日本語能力を持つ即戦力人材を受け入れるための制度です。
そのうち宿泊分野では、次のような宿泊施設で働く外国人材を受け入れることができます。

  • ホテル
  • 旅館
  • リゾートホテル
  • ビジネスホテル など

特定技能1号(宿泊)は、原則として通算5年まで在留可能で、
フロント・予約・接客・レストランサービスなど、宿泊施設の運営に関わる業務を幅広く担当する即戦力スタッフを想定しています。


2. 外国人材側の主な条件(特定技能1号・宿泊)

特定技能(宿泊)として働く外国人には、「技能」と「日本語」の2つの水準が求められます。

2-1. 基本的な前提条件

  • 原則18歳以上であること
  • 宿泊業での勤務に支障のない健康状態であること
  • 日本の宿泊施設で継続して働く意思があること

2-2. 技能水準:宿泊業技能測定試験 or 技能実習2号

宿泊分野で特定技能1号の在留資格を得るためには、以下のいずれかで宿泊業の技能水準を証明します。

  • ① 宿泊業技能測定試験(宿泊業技能測定試験/Accommodation Industry Proficiency Test)に合格
    フロント業務、予約・販売(レベニュー)、館内案内、レストランサービス、基本的なクレーム対応、衛生管理など、宿泊業務の基礎知識・技能が問われます。
  • ② 宿泊分野の技能実習2号を良好に修了
    宿泊分野の技能実習2号を「良好に修了」している場合、原則として技能測定試験が免除されます。

2-3. 日本語能力:N4レベルが目安

宿泊分野の特定技能では、次のいずれかで日本語能力を証明します。

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上
  • 日本語基礎テスト(JFT-Basic)など、同等レベルの試験に合格

チェックイン・チェックアウト時のお客様との会話、館内案内、電話対応、職場での指示の理解など、
日常会話と簡単なビジネス会話ができる程度の日本語力が求められます。


3. 受け入れ側(宿泊施設・運営会社)の主な条件

特定技能外国人を雇用する宿泊施設・企業は、「特定技能所属機関」として一定の条件を満たす必要があります。

3-1. 宿泊施設としての基本要件

  • 旅館業法に基づく旅館・ホテル営業許可を取得していること
  • 法令に基づいて適正に営業している宿泊施設であること
  • 労働基準法・最低賃金法・社会保険・労災保険等、各種法令を順守していること
  • 過去に入管法違反や重大な不正行為・不正受給などがないこと

なお、風営法上の「接待」を伴うような風俗営業に該当する施設や、一部の簡易宿所・民泊形態などは、
特定技能(宿泊)の対象外となるケースがあります(詳細は専門家や最新の運用要領で確認する必要があります)。

3-2. 雇用・労務管理の要件

  • 日本人と同等以上の報酬水準
    同じ部署・同じポジションで働く日本人従業員と比べ、著しく低い賃金設定は認められません。
  • フルタイムに相当する雇用
    一般的に、週30時間以上などの常勤に近い就業時間が想定されています。
  • 社会保険・雇用保険の加入
    要件を満たす場合は、通常の従業員と同様に各種保険に加入させる必要があります。
  • 適切な労務管理
    労働時間・残業・深夜勤務・休憩・休日などを適正に管理し、サービス残業が発生しないようにすることが求められます。

3-3. 宿泊分野では「派遣」は不可(直接雇用のみ)

宿泊分野の特定技能では、特定技能外国人を「派遣社員」として受け入れることは認められていません。
特定技能外国人は、ホテル・旅館・運営会社が直接雇用することが前提です。
(農業や漁業の一部とは異なり、「特定技能 × 派遣」は宿泊分野では原則NGです。)


4. 宿泊分野で特定技能外国人が従事できる業務

特定技能(宿泊)では、宿泊施設の運営に関する一連のサービス業務に従事することができます。

4-1. 主な業務の範囲

  • フロント・接客業務
    チェックイン・チェックアウト、館内案内、電話対応、荷物預かり、周辺観光案内など
  • 予約・販売(レベニューマネジメント補助)
    予約システムへの入力、予約内容の確認、簡単な在庫調整の補助など
  • 飲食サービス(館内レストラン・宴会場等)
    オーダー受付、料理・飲み物の提供、配膳・下膳、会場準備・片付けなど
  • 館内サービス全般
    アメニティ補充、簡単な客室チェック、ロビー・共用部の簡易な整理整頓など
  • バックヤード業務の一部
    在庫管理補助、備品発注補助、データ入力、報告書作成の補助など

いわゆる「フロントだけ」「レストランだけ」といった分業も現場ではありますが、
制度上は、宿泊業務全般に対応できるスタッフ(オールラウンダー)として育成することが想定されています。

4-2. 認められにくい業務のイメージ

  • ベッドメイク・清掃だけに専ら従事させる
  • 皿洗いだけ、裏方の単純作業だけといった一部の単純作業に専念させること
  • 宿泊業とは関係のない別部門(別会社の業務・他業種)で働かせること

あくまで宿泊業の人手不足を補う即戦力社員としての位置づけであることを意識しておく必要があります。


5. 受け入れ準備で押さえたい実務ポイント

5-1. 業務内容・シフトの見える化

  • フロント・レストラン・客室係など、部署ごとの業務内容を整理して説明する
  • 1日の流れ(早番・遅番・夜勤など)をタイムラインで示す
  • 繁忙期・閑散期のシフトの違いや、残業が発生しやすい時期も事前に共有する

5-2. マニュアル・教育体制の整備

  • 写真・図解入りの業務マニュアルを作成し、日本語をできるだけ平易にする
  • よく使う接客フレーズ集(日本語+英語)を用意する
  • OJT(現場指導)担当者を決め、何でも相談しやすい体制をつくる

5-3. 安全・コンプライアンス面の指導

  • 金銭・貴重品の取り扱いルール、情報管理の徹底
  • 防災訓練・避難経路・非常時の対応マニュアルの共有
  • ハラスメント防止・プライバシー保護などの基本的なコンプライアンス教育

宿泊業はお客様の個人情報や安全に直結する業務が多いため、日本人スタッフと同レベルのコンプライアンス意識を共有していくことが重要です。


6. 登録支援機関と支援体制

特定技能1号では、外国人に対して生活支援・日本語支援などの「支援計画」を実施することが義務付けられています。
この支援を、

  • 宿泊施設や運営会社が自社で行う(自社支援)
  • 登録支援機関に委託する(委託支援)

のいずれか、または組み合わせで行うことになります。

6-1. 法定支援の主な内容

  • 事前ガイダンス(労働条件・仕事内容・生活ルールの説明)
  • 入国時の出迎え・住居への案内
  • 生活オリエンテーション(ごみ出し・交通・病院の受診方法など)
  • 行政手続き(住民登録・銀行口座開設・携帯電話契約など)の補助
  • 日本語学習機会の提供
  • 相談・苦情対応(できれば母国語対応)
  • やむを得ない事情が生じた場合の転職支援 など

ホテル・旅館単独で全てを行うのが難しい場合は、宿泊分野の実績がある登録支援機関との連携が現実的な選択肢になります。


7. 特定技能(宿泊)受け入れのメリットと注意点

7-1. メリット

  • 慢性的な人手不足のポジション(フロント・レストランなど)を安定的に補うことができる
  • 外国人観光客への対応力(多言語対応・文化理解)が高まる
  • 国際色豊かな職場環境となり、日本人スタッフの意識変化・サービス向上にもつながる

7-2. 注意点

  • アルバイト感覚ではなく、就労ビザを持つ正規の従業員として受け入れる意識が必要
  • 残業時間・深夜労働など、宿泊業特有の働き方について、法令を守った管理体制が必須
  • 特定技能制度のルール(在留期間・業務範囲・支援義務など)を定期的にアップデートしておくこと

8. まとめ:特定技能(宿泊)を活かした人材戦略

  • 特定技能(宿泊)は、宿泊施設の運営に関わる業務全般を担う即戦力人材を受け入れる制度
  • 外国人材には、「宿泊業技能測定試験or技能実習2号」と「日本語(N4程度)」が主な条件として求められる
  • 受け入れ側には、日本人と同等以上の処遇・法令順守・支援体制の構築などが必要
  • 宿泊分野では派遣形態は認められず、ホテル・旅館による直接雇用が前提となる
  • 教育・マニュアル整備・生活支援を丁寧に行うことで、長く活躍してくれるスタッフとして育っていく

特定技能(宿泊)を上手に活用することで、人手不足の解消だけでなく、サービス品質向上やインバウンド対応力の強化にもつながります。
自施設のコンセプトや経営方針に合わせて、受け入れ方や育成プランを設計し、「共に成長するチーム」の一員として外国人材を迎え入れていきましょう。

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