今後の特定技能が担う役割、現存する技能実習制度との違いや、元技能実習生・2号技能実習生から特定技能外国人へ移行することが出来る要件をまとめました。
それでは、発表されている資料をもとに、一つずつ確認していこう!
新たに特定技能が新設された理由、目的は!?
【本来の目的】
・特定技能=人手不足を補う
・技能実習=国際貢献のため
【単純労働】
・特定技能 〇
・技能実習 ✖
特定技能1号・2号の違いは!?
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。
1号、2号では対象職種、滞在期間や条件が変わります。
所轄官庁が定める試験によってそのレベルを確認され、定義されています。
【特定技能1号】
受け入れ分野で相当程度必要な知識又は経験を有すること。
【特定技能2号】
受け入れ分野で熟練した技能を有すること。
日本での滞在期間や家族の帯同は!?
特定技能2号では、3年、1年又は6か月ごとの更新があり、滞在期間に制限なく、家族の帯同は要件を満たせば可能となってます。
【日本滞在期間】
・特定技能1号=5年
・特定技能2号=期限なし
【家族の帯同】
特定技能1号=基本的に認めない
・特定技能2号=要件を満たせば可能
技能実習制度では、職種や条件などによりますが、3年または5年の実習期間が設けられています。
オフィシャルで公表されている資料だから、目を通しておいて確認して下さい。
【特定技能1号のポイント】
○ 在留期間:1年,6か月又は4か月ごとの更新,通
算で上限5年まで
○ 技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した
外国人は試験等免除)
○ 日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を
試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験
等免除)
○ 家族の帯同:基本的に認めない
○ 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象
特定技能2号のポイント
○ 在留期間:3年,1年又は6か月ごとの更新
○ 技能水準:試験等で確認
○ 日本語能力水準: 試験等での確認は不要
○ 家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者,子)
○ 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外
受け入れ可能な対象職種・業種・作業業務は!?
技能実習制度では、移行対象職種・作業一覧(85職種156作業)となっています。
※2021年3月16日時点
特定技能では、14業種・職種一覧となっています。
特定技能では、14種類の業種(産業分野)として業種の内訳から各分野で従事できる業務などが受入れ対象となります。
技能実習制度では受入れが出来ない新たな業種は以下となります。
・宿泊業
・外食業
・造船・舶用工業
令和2年2月25日に、宿泊職種が技能実習2号の移行対象職種として認定されました。
※また、飲食料品製造業では、業務可能な範囲が拡大しました。今までの技能実習制度で受入れ出来る職種・作業にはない、より多くの業務に従事することが可能となりました。(主に菓子、豆腐、乳製品、アイスクリーム、みそ・しょうゆ、納豆などなど)
詳細は、こちら
ただし、特定技能1号・2号で対象業種が違います。
しかし、特定技能2号の対象業種は、建設と造船・舶用工業のみと定められています。
【特定技能1号の対象業種】
・建設
・介護
・農業
・漁業
・ビルクリーニング
・自動車整備業
・産業機械製造
・電気・電子情報関連産
・造船・舶用工業
・素形材産業
・航空
・宿泊
・飲食料品製造業
・外食業
【特定技能2号の対象業種】
・建設
・造船・舶用工業
雇用形態
技能実習制度の雇用形態は、直接雇用のみ。また、正社員(フルタイム)として技能実習生を受入れる事が定められています。
特定技能の雇用形態について、正社員(フルタイム)としたうえで、原則として直接雇用が条件となります。しかし、農業と漁業の2分野のみに労働者派遣が認められています。その他産業分野においては、労働者派遣形態は認められていません。
いずれも労働基準法を遵守した雇用形態が必要であり、日本人労働者と同様に労働関係法令等が適用されます。また、労働保険・社会保険に加入が必須でなければなりません。
【雇用形態】
・特定技能=直接雇用(※農業と漁業は派遣OK)
・技能実習=直接雇用のみ
【労働基準法・社会保険など】
・特定技能=適応・加入
・技能実習=適応・加入
技能実習2号修了者は無試験で特定技能1号に移行可能
技能実習の受入から2号修了までの流れから特定技能1号の移行について、以下は参考図です。
技能実習ビザから特定技能ビザへ在留資格の変更をする場合、外国人労働者の一部には特例措置(特定活動)が適用されることになります。
転職・転籍
技能実習制度では、在留資格ビザ「技能実習」の目的が技術・技能を学ぶことが目的であるため、そもそも「転職」という概念がありません。
原則不可ですが、実習実施者である所属先の企業が倒産等でやむを得ない場合や、技能実習2号から3号への移行の場合にのみ「転籍」が可能になります。
一方で在留資格ビザ「特定技能」は就労ビザであるため、同一業種内であれば転職が可能となります。
【転職】
・特定技能=〇
・技能実習=✖
【転籍】
・特定技能=〇
・技能実習=〇(※ただし条件付き)
受入れ企業の受入れ人数枠
技能実習制度では、常勤職員の総数に応じた人数枠が設定されています。
詳細の受入れ人数枠は、以下となります。
常勤職員の数 | 受入れ可能人数 | |||||||
基 本 | 優良企業(基本の2倍) | |||||||
301名以上 | 常勤職員数の5% | 常勤職員数の10% | ||||||
201名~300名 | 15名以内 | 30名以内 | ||||||
101名~200名 | 10名以内 | 20名以内 | ||||||
51名~100名 | 6名以内 | 12名以内 | ||||||
41名~50名 | 5名以内 | 10名以内 | ||||||
31名~40名 | 4名以内 | 8名以内 | ||||||
30名以下 | 3名以内 | 6名以内 |
技能実習で介護施設が技能実習生を受け入れ出来る人数は、常勤介護職員の10%となります。
例えば、介護施設で常勤介護職員が30名の場合は、3名の介護技能実習生を受入れ出来ることになります。また、優良な実習実施者(優良監理団体)であれば、通常の2倍の人数の受入れが可能です。
特定技能では、人数枠なし(介護分野,建設分野を除く)となります。
受け入れできる対象国は!?
技能実習制度、特定技能いずれも二国間で取決められた協力覚書を締結している国が対象としています。
しかし、特定技能においては基本的には、全世界の国から受入れが出来るようになっています。
・インドネシアとの協力覚書 【厚生労働省】・タイとの協力覚書 【厚生労働省】・パキスタンとの協力覚書 【厚生労働省】
・ウズベキスタンとの協力覚書 【厚生労働省】
・ブータンとの協力覚書 【厚生労働省】
・ミャンマーとの協力覚書 【厚生労働省】
・スリランカとの協力覚書 【厚生労働省】
・バングラデシュとの協力覚書 【厚生労働省】
・モンゴルとの協力覚書 【厚生労働省】
・ラオスとの協力覚書 【厚生労働省】
・フィリピンとの協力覚書 【厚生労働省】
・インドとの協力覚書 【厚生労働省】
・カンボジアとの協力覚書 【厚生労働省】
・ベトナムとの協力覚書 【厚生労働省】
【特定技能】
・フィリピンとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・カンボジアとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・ネパールとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・ミャンマーとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・モンゴルとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・スリランカとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・インドネシアとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・ベトナムとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・バングラデシュとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・ウズベキスタンとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・パキスタンとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・タイとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
・インドとの協力覚書 和文(仮訳) (PDF)
特定技能は、まだ二国間協定を結んでいる国が少ないですが、試験的に上記の国から策定して、今後拡大していくかと思います。受入れ時において、二国間協定を結んでいる国同士であれば、やり取りがスムーズになります。
日本で特定技能外国人を受け入れるには!?
そして、どこの組織が運営し担うのか!?
・特定技能所属機関(受入れ先企業)
・登録支援機関
・協同組合(監理団体)
登録支援機関とは、特定技能で外国人材の受入れ支援出来る機関です。
登録支援機関について、
参考記事:特定技能の登録支援機関について! 役割や登録要件を満たすものとは!?
特定技能1号、受入れ機関、登録支援機関、出入国在留管理庁の関係性は、こちらの図を参考にイメージ。
そして、社会生活上(生活ガイダンスの実施、住宅の確保、生活のための日本語習得、相談・苦情対応、各種行政手続に関する情報提供など)の支援を行うこと。
※登録支援機関は、所要の基準を満たした上で、出入国在留管理庁長官の登録を受けて支援を行うこと。
特定技能・技能実習制度についての説明動画
【技能実習制度】
技能実習生・これから技能実習生になる皆様へ~
【特定技能】
外国の人受入れ及び共生に関する取組~
特定技能と技能実習の違い 【まとめ】
技能実習 | 特定技能1号 | |
在留資格 | 在留資格「技能実習」 | 在留資格「特定技能」 |
外国人の技能水準 | なし(介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり) | 技能水準,日本語能力水準を試験等で確認 (技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除) |
入国時の試験 | なし (介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり) |
技能水準、日本語能力水準を試験等で確認 (技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除) |
設立目的 | 国際貢献 | 人手不足 |
滞在期間 | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内(合計で最長5年) |
1号:最長5年 |
2号:期限なし | ||
対象職種 | 85職種156作業 | 14業種(2号は2業種のみ) |
受け入れ国数 | 15カ国 | 日本と二国間協定締結国 ※基本的には、全世界で受入れ可能 |
送り出し機関 | あり | なし |
監理団体 | あり | なし ※登録支援機関が設立 |
外国人と受入れ機関のマッチング | 通常監理団体と送出機関を通して行われる | 受入れ機関が直接海外で採用活動を行い又は国内外のあっせん機関等を 通じて採用することが可能 |
受入れ機関の人数枠 | 常勤職員の総数に応じた人数枠あり | 人数枠なし(介護分野,建設分野を除く) |
受入に係る費用 | ・入国前後の諸費用 100万円前後 ・面接海外渡航費 10万円程度 ・監理団体・送出し機関の管理費(月額:2万〜5万円) |
・人材紹介料 20万〜50万円 ※かかる場合があります ・ビザ変更手数料(行政書士等) 5万〜15万円 ・登録支援機関の業務支援料(月額:1.5万〜3万円) |
転職 | 原則不可。ただし、実習実施者の倒産等やむを得ない場合や、 2号から3号への移行時は転籍可能 |
同じ業種内の従事できる業務であれば可能 |
永住権 | 付与なし | 付与なし※介護分野のみ介護福祉士の資格を取得すれば永住権が付与されます。 |
家族帯同 | 不可 | 2号のみ可 |
活動内容 | 技能実習計画に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従 事する活動(1号) 技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動(2号, 3号) (非専門的・技術的分野) |
相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動 (専門的・技術的分野) |